熊谷亜莉沙展|MAMA 油画/写真
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊谷亜莉沙展|MAMA 油画/写真
2013年7月26日|金|ー8月1日|木| at ATAMATOTE 2-3-3
[平日]10時ー19時 [土・日]13時ー17時
◉オープニングパーティー 7月26日|金|17時〜◉
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
熊谷亜莉沙さんの個展に寄せて 千住 博
彼女はカンガルーのように自分の入る袋を探している。
でも入れない。
随分前にそこから出てしまったのだ。もう戻ることは出来ない。
手足は育ち、体は母と劣らないまでになってしまった。
それならば、その体に今度は母が若い日に身に付けていたジュエリーを当ててみよう。
そして鏡に向かう。
似合うのかどうか。
その時彼女の全身にぞくっとするような何かが走り抜けた。
体のすみずみまで毛細管のような神経が行き届き、その中をヘビのような赤い血が流れた。
小さな音を立ててスイッチが入る気配がする。
全身は覚醒し、そして彼女の精神はゆっくり目覚めた。
彼女は写真機を取り出し、自分を撮り、絵筆を握り、その体を彼女らしい方法で描き始める。
こうして彼女は全人類を代表して、眠りから醒め、脱皮する姿を世に問うことになる。
「あなたは私のことを覚えていてほしいの。あなたさえ私のことを覚えていてくれれば、ほかのすべての人に忘れられたってかまわない」(村上春樹「海辺のカフカ」)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)